父への遺贈を実現し、遺留分請求まで見据えた3つの安心策
相談前
ご相談者は、余命を宣告された男性A様でした。
A様には離婚歴があり、娘様が1人いました。娘様とは幼い頃に分かれたまま長年音信不通でした。
A様は、ほとんど会ったことがない娘様に財産を相続させるのでなく、ご自身の父に全財産を遺贈したいとの意思をお持ちでした。ただ、末期の病で時間的余裕がなかったため、取り急ぎ公正証書遺言を作成し、当事務所が遺言執行者に指定されました。
また、娘様から遺留分が請求された場合に、父に負担をかけたくないとして、遺留分にも備えたいというご要望でした。
相談後
A様がお亡くなりになり、当事務所が遺言執行者として相続手続きを開始しました。故人の意思に基づき当事務所が遺言執行者として娘様にA様が亡くなったことをお伝えしたところ、後日、遺留分侵害額請求がされました。
遺言執行者は相続人に遺言の内容を通知する義務があるため、当事務所は速やかに娘様に遺言の存在と内容を伝えました。
提携する弁護士と連携し、娘様側の弁護士との間で交渉をサポートしました。A様が遺した不動産(約5,000万円相当の不動産と預貯金)を売却し、その資金を充てることで、遺留分相当額の支払いを円満に完了させました。これにより、家庭裁判所での遺留分侵害額請求訴訟まで至らず、話し合いで解決できたことで、残されたA様のご父様も安心して手続きを終えることができました。
事務所からのポイント
縁遠いご家族への相続を避けたいと考える方は少なくありません。今回のケースでは、亡くなる前に公正証書遺言を作成して遺言執行者に指定したことが、故人の意思を確実に実現する上で非常に重要でした。遺言執行者は、亡くなった方の意思に沿って財産を分配するだけでなく、遺留分侵害額請求などの予期せぬトラブルにも対応する役割を担います。特に、遺留分は民法改正により請求される可能性があることが明確化された権利であり、事前にその可能性を考慮し、不動産の売却なども含めて対応策を講じておくことが、後の「争族」を避ける3つの安心策となります。遺言作成や遺留分問題でお悩みの方は、ぜひ当事務所にご相談ください。

