任意後見と遺言で4つの安心を
相談前
当事務所のお客様からのご相談で80代のB様を紹介していただきました。
B様は奥様とお子様全員が既に他界しており、いわば「おひとり様予備軍」の状態でした。当事務所が関わり始めた当初から認知機能にやや衰えが見られ、遠方に住むB様の妹様もその状況を大変心配されていました。B様は、妹様や甥・姪に財産を遺したいと考えていましたが、認知症が進行したことにより、ご自身の意思が伝わらなくなること、そして将来の財産管理に不安を抱えていらっしゃいました。
相談後
当事務所はB様の意思を尊重し、まず公正証書遺言を作成しました。ご自身の財産を妹様や甥・姪に遺す内容としました。さらに、判断能力が低下した場合に備え、当事務所を任意後見人とする任意後見契約と、現在の財産管理を委任する財産管理契約、そして亡くなった後の事務を委任する死後事務委任契約を締結しました。
これらの契約は公正証書で作成し、B様は万が一の際に備え、ご自身の希望通りの財産承継と生活支援が受けられる体制を整えることができました。実際にその後、B様は転倒して施設に入居することになり、現在、当事務所が任意後見人として財産管理を行っています。
事務所からのポイント
「おひとり様」や、ご家族が遠方に住んでいてなかなか会えない高齢者の方にとって、認知症は大きな不安要素です。今回のケースでは、任意後見契約、財産管理契約、死後事務委任契約、そして遺言書の4つの準備を組み合わせることで、ご本人の意思が尊重され、将来にわたる財産管理と生活支援、そして遺産承継までを一貫してカバーすることができました。
特に、任意後見契約と財産管理契約は効力発生のタイミングが異なるため、両方を締結することでシームレスな財産管理の権限移行が可能です。ご自身の将来やご家族の状況に不安を感じる方は、早めに専門家にご相談いただき、適切な準備を行うことが、最初の大きな一歩となります。

