自筆証書遺言保管制度とは

遺言書は大きく分けて2種類あり、1つは自筆証書遺言(民法968条)、もう1つは公正証書遺言(民法969条)として定められています。
簡単な違いを説明すると、自筆証書遺言は、本人自身による作成・保管、また、相続開始後は相続人が家庭裁判所に対し確認(検認)を求める手続きが必要とされる遺言です。

一方、公正証書遺言は、公証人の下、2名以上の証人が立ち会い作成される遺言であり、公証人による遺言の有効性の確認、遺言内容に対する助言が必要とされており、財産価値に応じた手数料が発生します。
また、原本は公証役場で管理・保管され、相続開始後の検認は不要とされているため、すぐに相続のお手続きを開始することができます。

2020年7月に施行された遺言書の保管制度に関わる遺言書は自筆証書遺言です。
この記事では、自筆証書遺言の法務局での保管が可能になった経緯、遺言を作成した被相続人側の手続き、遺族である相続人側の手続きを分かりやすく解説します。

遺言書の保管とはどのような制度か?

自筆証書遺言保管制度とは、遺言書の原本を法務局(遺言保管所)が保管する制度です。
前述した通り、自筆証書遺言は、公証人や公証役場を利用する公正証書遺言と比較して、手続きに伴う手間がかからず、手軽に作成可能であり自由度が高い点が特徴です。

一方、遺言書の紛失や不当な改ざんが行われるリスクがあり、被相続人の意向を伝える上での確実性や遺言の正当性の問題が指摘されていました。
自筆証書遺言保管制度は、このような自筆証書遺言のメリットである自由度を担保しつつ、自筆証書遺言に存在するリスクを軽減することを目的として創設された制度です。

遺言者による手続き

この章では、遺言者が保管制度を利用する際の手続きを段階ごとに説明します。

(1)遺言書を預ける(遺言書の保管の申請)

自筆遺言保管制度を利用する際、はじめに行う作業は、遺言書の作成と遺言保管所の選定です。自筆遺言書を作成する場合、決められたフォーマットに従って作成しなければ、無効になってしまう場合があります。独力での作成も可能ですが、不安な場合は司法書士など専門家の助言を仰ぎましょう。

また、どの遺言保管所を利用するかは遺言者の住所や本籍地に応じて予め定められていますので、要件を確認し該当する遺言保管所に申請を行いましょう。

保管所に申請する際は、遺言書や身分証明書の他、1通につき手数料として印紙代(3,900円)を納めます。

その際、保管証が発行されますが、遺言書を変更や相続人による証明書を請求の際に利用できますので、大切に保管しましょう。

(2)遺言者によるその他の手続き

①遺言者による閲覧

遺言者が遺言書を閲覧する場合、遺言書の原本が保管されている遺言保管所に対し申請を行います。モニターでの閲覧、原本での閲覧を選択できますが、モニターの場合1,400円、原本の場合は1,700円を手数料として納める必要があるので、必要な印紙代を納めましょう。

②遺言書の撤回、変更

遺言書の撤回や内容の変更が必要な場合も、遺言保管所への届出が必要です。
撤回の届出は、遺言書の原本が保管されている遺言保管所に対して直接行わなければなりませんが、変更の場合は郵送でも可能とされています。
また、この2つの手続きは、手数料なしで可能な手続きです。

相続人による手続き

(1)証明書の請求

遺言者が亡くなり、被相続人が遺言保管所への請求を行う際は、2つの証明書を請求することになります。1つは遺言保管事実証明書、もう1つは遺言書情報証明書です。
それぞれ意味や手続きが異なりますので、分割して説明します。

①遺言保管事実証明書

遺言保管事実証明書」とは、そもそも遺言者の遺言が保管されているか否かを確かめるための書類です。
遺言保管事実証明書の請求は、相続人の他、遺言執行者や受遺者などが必要な書類を添付し手続きを請求することが可能とされています。
また、手数料が1通につき800円必要とされているため、印紙代を納め収入印紙を添付しましょう。
また、証明書の交付は請求人の住所宛への送付でも可能ですが、送付を希望する場合、返信用封筒が必要です。

②遺言書情報証明書

遺言情報証明書」とは、遺言書の内容を知るために遺言保管所に対し、証明書の交付を求める請求です。
この証明書も相続人の他、遺言執行者や受遺者などによるを請求が可能であり、送付による交付も認められています。
この手続きは、印紙代が1,400円であり、請求書の作成費用として法定相続情報一覧図の写しなどが必要です。
添付書類などがやや複雑な手続きですので、必要に応じて司法書士など専門家への相談を行いましょう。

(2)遺言書の閲覧

相続人などが遺言書を閲覧する場合、前述した遺言者による手続きと同様、原本が保管されている遺言保管所に対して請求を行います。
こちらもモニターによる閲覧、原本による閲覧が選択可能であり、モニターが1,400円、原本が1,700円の手数料を納める必要があるので、必要な印紙代を納めましょう。

最後に

この記事では、2020年7月に施行された法務局による遺言書の保管制度の概要や手続きの流れを説明しました。

より詳しい情報は法務省のホームページで公開されていますので、必要に応じて確認してみて下さい。
また、遺言書を作成する際には一定のルールに従う必要があり、それに従わない場合は、遺言の内容が無効になるなどのリスクが生じます。

確実に遺言を伝えたい方や不安な方は、司法書士などの専門家に作成に関するアドバイスを仰ぎましょう。

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